人間の実相 無常の虎2


ぽっくり寺

安らかに死にたい・・これが 多くの人の願いでしょう。


ポックリしねたらそれでいい

そんなことをいっている人もあります。
こんな実話があります。


奈良県に有名なポックリ寺がある。


大阪のある婦人会の人たちが、観光でそこを訪れた際、

長患いで家族に迷惑をかけたり、苦しんだりせず、

ポックリ死ねますようにと祈願した。


ところが“霊験あらたか”というか、3日後、

その中の一人が本当に ポックリ 死んでしまった。

こうなるとあのポックリ寺は、ただの言い伝えでない、
本当なんだという話になり、

それからというもの「今度はあんたの番だ」

「いやあんたこそあんなに真剣に頼んでおったじゃないか」

とゴリヤクのなすり合いまで始まった。


頭痛がしたり原因不明の腹痛にでもなろうものならさあ大変で

「いよいよ自分の番が来たか」と皆、戦々恐々とし始めたという。

そこでまた、婦人会で集まってポックリ寺へ行き、

この前の祈願はどうか取り下げ願いますと、

前より真剣に頼み始めたのだそうな・・・


ポックリ死ねたらええなあ、

と考えている「死」は怖くはないが、

実地の死ではそうはいかない。

肉体的な苦痛はなくても、死自体の重圧に、

心は七転八倒させられるのである。

すべての人の本音は

死にたくない ではないでしょうか



天下無敵の風


☆★☆

相撲史上、有名な谷風が野道を歩いていると
小さな男がやってくる。

近づいて谷風を仰ぎ見ながら意外なことをいう。

「関取、一番取ろうか」

「なんじゃと、オレを日の下開山谷風と知ってのことか」

「勿論さ、オレは身体は小さいが力があるんだ。是非一番取ろうじゃないか」

男は執拗に挑戦する。

「それじゃ、どこからでもかかってくるがよい」

生意気な小僧、一つ懲らしめてやろうと谷風はタンカを切った。

よいしょと取り組んでみると中々どうして男に力がある。

さすがの谷風も、やがて思い切り投げとばされてしまった。

不覚にも尻餅をついた谷風は驚いて、

「やあやあしばらく待った。天下無敵のこのオレを倒したお前は、おそろしく強い。

お主は一体何者じゃ。名前だけでも聞かせてくれ!」

と尋ねると、カラカラと笑って、こう答えたという。

貴方は谷の風でも、私は無常の風じゃ

☆★☆

無常の風

この風に勝てる人は、だれ一人としてありません。

どんな人も、この風に吹かれ、

必ずこの世を去る日がやってきます。



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