文武の才に恵まれたお釈迦様
悉達多太子をぜひとも転輪王にしたいと思った浄飯王は、
文学の先生に、バッダラニー、武芸の先生に、センダイダイバーを付け、文武共に一流の先生から学ばせるようになりました。
二人の師の元で学んだ太子は力を付けてゆかれます。
ある時、バッダラニーが浄飯王に
「どうか太子の家庭教師を辞めさせて下さい」
と願い出てきました。
浄飯王は、
「何が不満なのか、給料が少ないというのか」
と尋ねると、バッダラニーは答えます。
「いえいえ、とんでもありません。
太子は、1教えたら10覚る、10教えたら100覚る、大変聡明な方です。
最近では、城に来る度に、今日はどんな事を尋ねられるのだろうかとびくびくし
ている次第です。
私には、教える事はありません。どうか辞めさせて下さい」
それならば仕方が無いと、バッダラニーの申し出を浄飯王が認めると、今度は、センダイダイバーが浄飯王の元を訪れました。
「私も、どうか辞めさせて下さい。
太子は大変な武術の才能を持たれた方で、最近は私よりも上達してしまいまし
た。弓ならば私でも100本打てば、1本くらいは的を外します。
それに比べて太子は百発百中です。
これではどちらが先生か分かりません、辞めさせて下さい」
このように太子は、文武の才能に恵まれた方でした。
将来は王の地位が約束され、才能もあり、私達が求めているものの全てを持たれた太子ですが、成長されるにつれて深く物思いにふけられるようになるのです。
(つづく)