病苦(病の苦しみ)健康は無形の財産
病苦 病の苦しみ 健康は無形の財産
前回までは老苦についてお話ししていました。
その次にお釈迦様があげられている苦しみは
病苦です。
大きな病にかかったことがある人なら
聞かなくても分かることですが
これまで健康な人には病気の苦しみといわれてもピンときません。
健康が、まるで当たり前のように思っているからです。
病気の苦しさというのは。
「病」 という漢字にもそれが教えられています。
病 という字は
ヤマイダレに 丙 と書きます。
丙と言うのは、甲乙丙 の丙ですね。
物事に優劣をつけるのを、甲乙をつけると昔は言いました。
これは甲乙(優劣)つけがたいので
丙 ということだそうです。
病気になると自分の病気が一番苦しいとしか思えません。
高熱で苦しんでいる時は、高熱ほど苦しいものはない
腹痛で苦しんでいる時は腹痛ほど苦しいものはない
腰痛、歯痛、頭痛、今自分が苦しんでいる病が一番苦しいと
思います。
だから、オレのかかっている病気の方が、お前のよりも楽だ
と言うことはありませんから、
甲乙つけがたいので 丙 の字を使われていると聞いたことが
あります。
それだけ苦しいということです。
最近は、健康ブームです。
健康食品、食の安全などがよく問題にされています。
それだけ、長生きしたいし、病気で苦しみたくない
と思うからでしょう。
だけど、これも、老苦といっしょで、必ず、病にかかって
苦しまねばならないことは避けようのないことです。
お金などの形ある財産は、減ると分かりますが
健康などの目に見えない財産は、その有難さに気がつかず
浪費してしまいます。
病の苦しみから逃れられない ということは、一見、ネガティブな
感じもするでしょうが、今、元気でいることの有難さを知らされる
教えでもあります。
「オレが病気になるもんか」と自分の健康を過信して、
暴飲、暴食、不摂生を自慢している愚かさを反省せずにおれません。