幸せへの一歩は、運のせいにしないところから
私たちは、思いがけないことが起きた時、どんな気持ちになるでしょうか。
よいことだった時は、「私って運がいい」「俺ってラッキー」と思うものです。
反対に、悪いことだった時は、「なんでこんな目にあうの?」「自分は悪くない。たまたま運が悪かったのだ」と思ってしまいます。
このように、私たちは思いがけないこと、つまり、考えてもよく原因が分からないことが起きた時、運とか偶然だとか、たまたまという言葉を使います。
しかし、ここで少し考えてみてください。
「たまたま」「偶然」を辞書で引くと、「原因なしに起きたこと」と書いてあります。けれど、「原因なしに何かが起きる」ということはあるのでしょうか。
仏教を説かれたお釈迦さまは、
「どんな結果にも必ず原因がある。
原因なしに起きる結果は一つもない」
とハッキリと教えていかれました。
これを仏教で「因果の道理」(いんがのどうり)といいます。
「因」とは原因のこと、「果」とは結果のことです。「道理」とは、いつでもどこでも成り立つ普遍的な法則という意味です。
原因なしに起きる結果は絶対にないし、原因があれば必ず結果が生じる。これはいつの時代でも、どこに行っても変わらないことなのだとお釈迦さまは言われるのです。
平たい言葉でいいますと、
「まかぬタネは絶対生えないが まいたタネは必ず生える」
ということです。
昔、種をまかなくても生えてくるメロンがあった……なんてことはありません。ブラジルには、種がなくても花を咲かせるヒマワリがある……なんてことも絶対にありません。
メロンが実ったのはメロンの種が必ずあったということ、ヒマワリの花が咲いたのはヒマワリの種が必ずあったということです。
同じように、どんな結果にも必ず原因(タネ)があり、原因なしに起きる結果は一つもないのです。
科学や医学の世界でも、結果には必ず原因があるという大前提があります。昔はかかれば間違いなく死んでしまっていたような恐ろしい伝染病も、その原因となる細菌を見つけ出すことで、治療方法を発見しました。病気の原因があるからこそ、治すことができるのです。もし原因のない病気なら、防ぐことも治すこともできません。
飛行機や列車の事故が起きれば徹底して原因を究明します。人命に関わることですから、その原因が分かるまで、徹底調査します。「たまたま、偶然、原因なし」に事故が起きることはないからです。
私たちはうまくいかなかったり、望んでいた結果が出なかったりした時、「たまたま、偶然だ」と言って、それ以上考えることをやめてしまいがちです。
でもそんな時、少し立ち止まって、「この結果の原因(タネ)は何だったのか」を考えることが大事なのです。そこに必ず、あなたを幸せにするヒントがあるのです。