お悩み
幼いころから孤独に苦しんでいました。結婚したら寂しくなくなると思っていましたが、愛する人とも永遠に分かり合えないのだと気がついてから、よけいに寂しくなってしまいました。
この寂しさをどうしたらいいのでしょうか。
お答え
寂しさとは、どんな人も抱える共通の苦しみです。
どんなにたくさん友達がいる人でも、ふと時折、むなしさを感じたり、孤独感を感じるものです。
世界にはたくさんの人がいますが、実は、みんなひとりぼっちで苦しんでいるのです。
お釈迦さまは、
「私たちは、ひとりひとりのこれまでの行ないや経験が生み出した世界に生きている。だから、みんなひとりぼっちで苦しんでいるのだよ」
と言われています。
育った環境、生い立ちや経験は、ひとりひとり全く違いますから、同じものを見ても聞いても、ひとりひとり感じ方や受け止め方は変わってきます。
だから、どんなに親しくなっても分かり合えない部分が必ずあります。
あるご夫妻から、悩み相談を受けたことがありました。
このご夫婦は、とても素敵なカップルで、いつお会いしても幸せそうなのですが、最近、仕事のことで意見が合わず、ケンカになってしまうというのです。
ご主人の話を聞くと、
「自分は子供のころ、家が貧しくて、お金に苦労した。だから、今、働けるだけ働いて、妻や子供には、お金のことで絶対に苦労させたくないんだ。なのに、家内は、もっと早く家に帰って来いとか、土日が家族のための時間にしてというんだ。俺だって、家内や子供と一緒にいたいけど、家族のことを思うとゆっくりしてもいられないんだよ」
とおっしゃいました。
次に、奥さんの話を聞くと、
「私は、子供のころ、両親が忙しくて、いつも一人で留守番で、とても寂しかったんです。お金のことは、やりくりすれば何とかなります。それよりも子供にさびしい思いをさせたくないのです。だから、無理して働かなくていいから、一緒にいてっていうんですけど、分かってくれなくて」
といわれました。
三木清(みき きよし)という有名な哲学者は、
「孤独は山になく、街にある。ひとりの人間にあるのでなく、大勢の人間の『間』にある」
と言いました。
山にひとりでいるのも寂しいことですが、人との関わりあいの中で感じる分かり合えないすれ違いこそが、本当の孤独なのだという意味です。
浅いつきあいでは気にならなくても、深くつきあっていけばいくほど、理解できない相手の部分が知らされます。
どうして分かり合えないのだろうと寂しい気持ちになることもありますが、これは相手の努力不足というよりも、人間である以上どうしようもないことです。
このことを見つめるのは確かに寂しいことかもしれませんが、本当に相手とのよい関係を築くには、
「人間同士分かり合えない」
ということを受け入れることが大事です。
夫婦ゲンカでも、相手が分かってくれないと腹が立つのは、お互い「これぐらいはわかっているだろう」と思うからです。
どんなに親しくても分かり合えない部分があるということを認めてしまえば、すれ違いがおきても、他人なんだもの仕方がない、相手にも同じ思いをさせているかもとしれないと思い、相手を責める気持ちもやわらぐものです。
国際結婚をした知人に聞いた話ですが、海外の人と結婚すると、意見の相違で、ケンカになることがあまりないそうです。
なぜなら、最初から、分かり合えないことが前提になっているからです。
日本人同士だとどうしても、これぐらいはわかっているでしょうという思いがあって、それをお互いに押し付けてケンカになることが多いのではないでしょうか。
「分かってくれない」とお互いを傷つけるのではなく、「分かり合えないのだな」と、少しでも理解する努力をお互いしていきたいですね。
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