愛する人と死別した


 

お悩み

 愛する人と死別しました。もうずいぶんたちますが、立ち直れていません。早く前を向いて歩きたいです。



お答え

 私たちは、過去の悲しい出来事やつらい思い出、失敗を、今に引きずってしまうことがあります。
「どうして、あんなことをしたのだろう。なんであんな目にあったのだろう」と過去を悔やみつづけることもあるでしょう。

 そんな時はどうしたらよいのでしょうか。


 お釈迦さまは、「過去は、現在におさまる」と説かれています。

 過去というものがどこかにあるわけではありません。過去とは、現在の私の記憶の中にあります。

 もし、私が今、その過去の記憶を苦しくつらいものだと思えば、それはつらい過去の記憶になります。
 今の自分にとって意味ある大事なものだと思えれば、意味深いものになるでしょう。

 突き詰めていうと、「つらい過去」があるわけではありません。
「過去の出来事をつらいと思っている今」があるのです。


 幼い子供を残し、交通事故で夫が亡くなった30代の女性と話していたときのことです。

 一方的な相手の過失で夫を奪われた悲しみと怒りで、一時は正気を失うほど苦しんでいたその方は、失意の中からも何とか立ち直ろうと、私の話を聞きに講座に来られたのでした。

「どうして夫はこんなに若く死なねばならなかったのでしょうか」

 涙ながらに訴えてこられるその方に、私は次のように問いかけてみました。

「本当に悲しいことです。それだけ、ご主人を愛しておられたのですね。もし、あなたが結婚する前に、ご主人が今の若さで亡くなることを知っていたら、それでもあなたは結婚しましたか?」

 しばらく、うつむいて沈黙が続いた後、パッと顔を上げて、その女性はいいました。

「はい、それでも主人を選んだと思います」

「そうですか、そんな素敵な人と出会えたんですね」

 と声をかけると、その女性は涙ながらに、

「はい、主人と会えたこと、そして2人の子供を授かったことが本当に幸せでした」

 と答えてくれました。

 

 

 しばらくして、再び会ったとき、

「失った寂しさは変わらないのですが、寂しければ寂しいほど、主人のことを愛していたんだ、そんな人と出会えたと思うと、そばにいてくれるような気がするんです」

 と以前よりもずっと明るい表情で答えてくれました。

 その方は、別れの悲しみをそれだけ愛する人と出会えた幸せと受け止めることで生きる力にすることができたのです。


 私たちの人生には、どんな人でも、つらい過去や思い出があります。

 起きてしまった事実を変えることはできませんが、その事実をどう受け止めるかは変えることができます。


 その事実を、意味あるものと受け止めることができれば、つらかった過去の出来事でも、あなたを活かす力になるのです。

 

 

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2018年10月16日