自分なんて必要ないのでは


 

お悩み

 世の中から必要とされていない気がします。誰も私のことなんてかまっていないんじゃないかと……。



お答え

 私たちは「優しくされたい」「大事にされたい」「必要とされたい」と思って生きています。
 恋人や家族から優しくされたら、とてもうれしくなり、幸福感を感じます。家族や友人から必要とされると、「頑張るぞ」と生きる勇気がわいてきます。

 逆に、優しくされず、ないがしろにされ、自分は必要とされていないと感じた時、とても寂しく、落ち込んでしまいます。


 どうしたら、「優しくされ、大切にされる私」になれるのでしょうか。

「どうしてもっと優しくしてくれないの? 大切にしてくれないの?」と相手を責めても、何も解決しません。


 実は、時代や国を問わず、「優しくされ、大切にされる私」になれる普遍的なタネまきがあるのです。
 お釈迦さまはこれを「布施」(ふせ)と教えられています。

 布施とは、「ダーナ」という古代インドの言葉を中国語に翻訳したものです。ダーナとは「与える」という意味で、ダーナを音写したのが「旦那」という言葉です。

 今では「旦那」というと、寿司屋の板前さんが入ってきたお客さんに「へい、旦那。いらっしゃい」と言ったり、奥さんが夫のことを「うちの旦那」と言ったりします。
 しかし、旦那とはもともと、「与える人」という意味なのです。たしかに、板前さんにとっては、お客さんがお金を与えてくれる人ですし、専業主婦の奥さんにとっては、大黒柱のご主人が家計を支えてくれる「与える人」になりますね。

 布施とは、思いやりの心で周りの人に何かを与えることをいいます。
 お金や物がなくて困っている人、お金や物にはそれほど困っていなくても、優しさに飢えている人、失敗続きで落ち込んでいる人、悩みを聞いてもらいたいと思っている人、元気をなくしている人、はたくさんいます。
 お釈迦さまは、

「思いやりの気持ちを持って、お金や物、笑顔や優しい言葉など、ちょっとしたことでもいいので、あなたができることを与えてみなさい」

と教えられています。

 

 思いやりの心や優しさで接すれば、相手からも思いやりや優しさが返ってきます。自分勝手に振る舞えば、誰もあなたのことをかまってくれなくなります。

 あなたが周りへとった態度がそのまま、周りのあなたへの態度となって返ってくるのです。


 心理学で「返報性の原理」という言葉があります。人間は、相手にしてもらったことに対して、お返しをしなければいけないという気持ちが働くという意味です。誕生日にプレゼントをもらうと、相手の誕生日にもプレゼントをあげなければ、と思う心がそうです。

 同じように、優しくすれば、優しくされる。大事にすれば、大事にされる。逆に、冷たく、自分勝手に振る舞えば、周りから嫌われ、うとまれる。この原理は、当たり前だと思う人もいるでしょうが、実際には実行できていない人が多いと思います。

「大事にされたい」と思ったら、方法は簡単です。人に対して優しく、大事にすればいいのです。

 

 

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2018年06月22日