失った信頼をどう回復していくか


 

お悩み

 多くの人から大きく信用を失うことをしてしまいました。
 一から出直したいと思っています。
 信頼を回復するのは容易なことではないと思いますが、何から始めたらよいか、アドバイスをお願いします。



お答え

 お釈迦さまの息子ラゴラは、出家して仏弟子となられましたが、まだ幼くいたずらざかりで、時々ウソをついては人をだまして面白がっていました。

「これは放置できぬ」と思われたお釈迦さまは、ラゴラのところに出かけられたのでした。

 タライの水で御足を洗い終えたお釈迦さまは、

「ラゴラよ、この水をお前は飲めるか」
 とたずねられました。

「飲めません。汚れていますから」

「水はもともとは美しい。しかし、お前は汚れた水のようなもの。
お前は出家の身となったが、まじめに修行もせず、ウソをついて人をだまし、約束も守らない。
その結果として誰にも愛されず、見向きもされなくなるのは、お前自身なのだぞ」

 お釈迦さまの厳しさと同時に自分のこれからを心配してくださっている深い愛情を感じたラゴラは、心を入れ替え、まじめに仏道修行に取り組み、信頼され、愛される仏弟子になったといわれます。


 お釈迦さまは、幸せな人生を歩むための6つの道を説かれた「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の2番目に「持戒(じかい)」を教えられています。

 持戒とは、戒(きまり)を守ることですが、平たく言うと約束を守るということです。

 約束したこと、自分がやるといったことをきちんと守っていくことで、この人は信頼できる人だから安心と、信頼を深めていくことができます。
 小さな約束をコツコツ守っていくことで、周りから信頼される私になることができます。


 心理学でも、人が信じるのは、「何を言うか」よりも、「何をするか」であるといわれます。

 

 

 ある人が料理をおいしそうに食べながら、「まずい」と言ったのを見て、「この料理は、美味しいと思いますか、まずいと思いますか」と聞いたところ、大半の人が、「美味しいと思います」と答えました。

 今度は逆に、料理をまずそうに食べながら、「おいしい」と答えたのを見て、同じ質問をしたところ、大半が、「まずいと思う」と答えたという実験があったそうです。

 このことからも、人は、どんな言葉を言っているかよりも、どんな行動をしているかを重視していることが分かりますね。

「自分を信じてよ」
「今度だけは本当だから」
「俺のことが信じれないのか」
 と言っても、行動が伴わないと結局、信じてもらえなくなります。


 ですから、お互いにに信頼を深めていくには、お釈迦さまの教えられるように、お互いの間の約束や決まり事を丁寧に守っていくことです。

「夜は7時に帰宅しますよ」といったら、きちんと約束を守る。

「3時に、〇〇の駅のカフェで待ち合わせましょう」と言ったら、遅れないようにそこに行く。

「週末、食事に行きましょう」と言ったら、ちゃんと段取りして、声をかける。

 当たり前のことなのですが、忙しくなると忘れてしまったり、後回しにしてしまいがちです。


 また、都合が悪くなると、「ごめん、仕事が入ったから、行けなくなった」とメール1本で安易にキャンセルしてしまうこともあるでしょう。

 キャンセルしたほうは、用事が入ったのだから仕方がないと思っても、キャンセルされた方は、食事の用意をして待っていたり、日程をあけて、どのお店にしようかいろいろ考えていたのですから、がっかりするでしょう。

 そういうことが続くと、この人の言うことは当てにならない、私との約束はあまり大事にしてくれない、自分は優先順位を低く見られているのかなと、悲しい気持ちになってしまうものです。


 お互いの信頼関係を深めるには、まず、相手との約束をきちんと守ることです。

 自分がこれぐらいはいいだろうと思っていることでも、相手にとっては重要なことかもしれません。

 ですから、小さな約束(と自分が思っている)こそ、丁寧に守っていく心がけが大事です。


 自分にどんな事情があれ、約束を破られた相手は、面白くないものです。
 それが積み重なると、それまでに築いてきた信頼も損なわれてしまいます。

 しかし、毎日、いろいろなことがありますから、その時はできると思ってした約束も、状況がかわって果たせなくなることもあるでしょう。
 そういう時はどうしたらいいのでしょうか。

 お釈迦さまは、布施の中に、心からのお礼やお詫びの言葉を言うことを挙げられています。

 相手に迷惑をかけたときに、心からお詫びの言葉を述べることは、とても大切なことなのだと教えられています。
 約束が守れなくなったとき、相手に迷惑をかけたとき、誠意をもってお詫びすることが大事ですね。


 では、誠意あるお詫びとは、どのようなものでしょうか。

 まず、約束が果たせないことが分かったとき、なるべく早く相手に告げることが大事です。
 直前になって、「行けなくなった、できなくなった」では、相手の予定も狂ってしまいますから、なるべく早くに伝えることが大事です。


 できるかどうか分からないときでも、「結局、できませんでした」では、信頼を失ってしまうことになりますので、予定通りにできないかも知れないと思った時点で、相手に伝えておくことが大事でしょう。

 相手にとっては、状況を伝えてくれるので安心ですし、この人は、誠意がある人だなとより信頼につながります。


 次に、結局、約束が守れなかったときは、誠意をもってきちんとお詫びすることです。

 よく、お詫びよりも先に、約束を守れなかった理由を言う人がありますが、理由を先に言うと、言い訳しているように聞こえますから、印象はよくありません。

 まずは、きちんとお詫びをいうことを心がけましょう。

「ごめんなさい、この間、約束してたのに、キャンセルしてしまい本当にすみません。日程をあけてくれていたのに、本当にご迷惑をおかけしました」

 ときちんとお詫びすれば、相手のその気持ちを受け止めてくれるはずです。


 そのうえで、理由や事情を説明することが大事です。
 致し方ない理由や、事情があったんだなと分かれば、悪気はなかったんだから許そうという気持ちになります。

 決して、いい加減に思っていたわけではなく、努力したのだけど、こういう事情でできなかったということを分かってもらうことで、安心してもらえます。


 誠意をもって、お詫びすることができれば、以前よりも、一層、信頼が深まることもあります。

 相手に迷惑をかけたなと思ったら、ためらわず、誠意をもってお詫びすることを心がけていきましょう。

 

 

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2018年09月22日