お悩み
うっかりした発言が多くて人間関係を損ねているのを自覚しています。
しかし気をつけていても、つい思ってもいないことを言ってしまうことがあり、後悔します。どうすれば防げますか。
お答え
私たちは、体や口や心で、毎日、いろいろな行いをしています。それが、タネとなって、日々のいろいろな結果を生み出しているということを、お話ししてきました。
体でやっている行いは、他の人から見られていることが多いでしょう。口でしゃべっていることも、周りの人に聞こえます。
ところが、心で思ったことは、誰にも、見られたり、聞かれたりすることはありません。
ですから、私たちは、日々、心でどんなことを思っているのか、ということを軽視しがちです。言いさえしなければ、やりさえしなければ、どんなことを思っていても、人には分からないから、問題ないだろうと思っていることも多いのではないでしょうか。
ところが、お釈迦さまは、
「体と口と心の行いの中でも、いちばん重いのが、心のタネまきなのだよ」
と教えられています。
心で思ったことを口がしゃべり、心で思ったことを体が行います。全ての行いの元は、心にあるからです。
仕事や人間関係などのトラブルは、言ってはならないことを言ってしまったり、やってはならないことをやったりしたことが、直接の引き金となって起きるものです。
しかし、あんなこと言わなければよかった、やらなければよかったと、口や体の行いだけを問題にしていては、表面的な反省にしかなりません。また同じことを繰り返してしまいます。
どんな心で言ったのか、どんな心でやったのか、その時の心の状態にまでさかのぼって初めて、その原因を深く知ることができます。
「目に見える体の行い、口の行いを通して、それを動かしている自分の心の姿を見ていきなさい」というのが、仏教の教えなのです。
燃えさかる火災現場で、消防士が、まず水をかけるのは、火の元です。
舞い上がる火の粉に向かって、どんなに水をかけても火は消えません。
それと同じように、
「体や口の行いは、火の元に当たる心から飛び散る火の粉なのだから、心を見つめなければ、苦しみ、悩みは消えませんよ」
と教えられているのです。
次ページからは、私たちの幸せ、不幸せは、心のタネまきによっていかに変わるかをお話ししていきたいと思います。
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