お悩み
家族も職場もイヤです。何もかも捨てて、どこかへ逃げ出したい気持ちです。理由はあげればキリがありません。
逃げられないし、逃げてもしかたないのは分かっているのですが……。
お答え
人生は、思い通りにならないもので、失敗やトラブルはつきものです。失敗すると、あせってしまい、どうしていいか分からなくなり、迷ってしまいます。
また、気に食わないことを言われるとカチンと頭に来て、その後もイライラしてしまうものです。
しかし、あせったり迷ったり、イライラしたりしたときこそ要注意です。
こういうときこそ、頭を冷やして、心を落ち着かせなければならないのです。
なぜならば、このあせりや迷いやイライラがキッカケとなって、想像もしていなかったような大変な状態におちいってしまうことがあるからです。
仏教では、私たちの苦しみが深まっていく過程を、「惑業苦(わくごっく)」と教えられます。
「惑(わく)」とは、まどいということ。イライラや、あせり、心の迷いです。
「業(ごう)」とは、悪い行いのこと。
「苦(く)」とは、その悪い行いが生み出す苦しみです。
ちょっとした迷いや、あせりが、さらなる失敗を招き、よけいに苦しむ。
すると、もっと気持ちがあせり、さらに大きな失敗をかさね、もっと苦しむ、という負のスパイラルのことです。
小さな失敗をごまかすためにウソをつく。そのウソがばれないようにするために、さらに大きなウソをついてしまう。とうとう、隠し切れなくなって、信頼を失ってしまう。
これぐらい大丈夫だろうと、消費者金融に借りたお金がどんどん膨らみ、会社のお金を使いこんでしまう。
大きな事件や不祥事といっても、だれにでも起きる心の迷いやあせりが出発点になっています。
だから、心があせり、乱れているときは、まず、落ち着けて気持ちを静めることが大事です。
お釈迦さまが、六波羅蜜(ろくはらみつ)の5番目に教えられている「禅定(ぜんじょう)」とは、心をしずめ定めるということですが、分かりやすくいうと、心を落ち着けて、静かに自分自身を振り返るということです。
あせっているとき、迷っているとき、イライラしているとき。
そんなときは、行動に移る前に、まず、心を落ち着けるようにしましょう。
心の落ち着け方は、人それぞれ、その人に合った方法があると思います。
・深呼吸をする
・散歩や軽い運動をする
・好きな音楽を聴く
・友人に話を聞いてもらう
・日記を書く
・まず、よく休む
などなどさまざまですが、自分に合った気持ちの落ち着け方を見つけるといいでしょう。
波立つ心を静め、静かに自分自身を振り返ると、ふだん見落としている大切なものがたくさん見えてきます。
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