同期との差が埋まらない


 

お悩み

 長いこと病気をして働けなかった時期があり、同期と差がついてしまいました。もうずいぶん努力していますが、いくら努力してもその差が埋まりません。
 もうこのままなのか、いやもっとがんばれば……と出口の見えないトンネルの中にいるようです。

 

お答え

 私たちはがんばろうと取り組んでも、すぐに目に見える結果が出てこないと、「やってもダメだ」と心がなえてきて、投げ出してしまいます。

 でも、努力や学習の成果というものは、じわじわ効果が出てくるというよりも、あるときをさかいに、パッと花開く傾向があるのです。

 だから、最初は結果が出なくても、コツコツ続けていくことが大事です。


 子供の頃、私は鉄棒の逆上がりができず、いつもひとりで練習していましたが、ある日、急にできるようになりました。
 不思議なもので、体がおぼえてしまうのか、一度できるようになると、その日からは、いつやってもできるようになりました。

 自転車に乗るのもそうです。最初は、フラフラしてすぐ転んでヒザをすりむいてしまいます。
 ところが、あるとき、スイーと乗ることができると、その日から毎日、自転車に乗ることができるようになりました。


 できないことでも、毎日、練習していると、ある日、突然できるようになるものなのです。
 仕事だってそうです。
 できないながらも、何とか続けているうちに、気がつくとそれなりに仕事をこなすことができるようになります。

 もちろん、もっと上手にできる人と比べたら、キリがありませんが、過去の自分と比べたら、格段に上達していますよね。


因縁和合(いんねんわごう)」という仏教の言葉があります。
 あらゆることは、とが結びついて生じるということです。

 

 

 とは、タネまきのこと。
 とは、環境、きっかけのこと。

 がんばってタネまきをしても、結果にあらわれないときは、まだ縁が来ていないのです。

 縁がそろえば、一気に花開きますから、それまであせらず、コツコツ、タネまきを続けましょう。


 春になると、満開の花を咲かせる桜も、冬は枯れ木のように花ひとつ、つけていません。
 春の陽気という「」がまだ来ていないからです。

 枯れ木のようだった木も、暖かい日差しに触れるといっせいに花を咲かせます。


 世の中には、遅咲きであっても、見事な花を咲かせる人がたくさんいます。

 遅咲き早咲きの違いはあっても、まいたタネは必ず生えるからです。


 一生懸命、がんばってきたことは、その人に必ずタネとなって蓄えられています。

 あせらず、あわてず、花を咲かせる暖かい日がさすのを待てばいいのです。

 

 

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2018年10月10日