お悩み
恋愛が長続きしません。
はじめは燃え上がって「この人しかいない」と思うのですが、しばらくすると「やっぱりこの人じゃなかった」と思っています。
こんなことはもうやめたいんです。
昔は相手が悪いんだと思っていましたが、どうも自分に問題があるんじゃないかと思うようになりました。
こういう性格なのでしょうか。だとしたらどうにもならないのでしょうか。
お答え
人間関係で悩んでしまう理由の根っこには、仲良くなればなるほど、相手に多くのことを求めてしまうことにあります。
たとえば、初めて会ったばかりの人なのに、相手の時間を、必要以上に拘束しようとしたり、何かを要求したりはしないでしょう。
他人は他人、自分は自分という遠慮があるからです。
ところが、親密になり、自分の欲求を相手が満たしてくれると、もっともっと、相手に求める心が抑えきれなくなります。
お釈迦さまは、これを渇愛(かつあい)といわれました。
ノドの渇きをいやすために、塩水を飲むと、もっとノドが渇きます。
それをうるおすためにさらに飲むと、渇きはさらにひどくなります。
同じように、欲求が満たされると、もっと、もっとと、ますます求める心が渇き、この「もっと」にはキリがありません。
恋愛などで苦しむのも、この渇愛によるものです。
最初は、目と目が触れ合うだけで幸せな気分になれます。メールに返信が来ただけでハッピーな気分になれます。電話がかかってきただけで、世界の中心で愛を叫びたくなります。
ところが、親密な時間を一緒に過ごすことを重ねると、目と目が触れ合うだけじゃ物足りない、どうして、すぐに返信してくれないの、なんで、電話がつながらないのと、相手が自分の思いに応えてくれないことにいらだち、苦しみはじめます。
すると、すべてのわがままを受け止めてくれる、な人はそういませんから、
「ずっと、あなたにかまってなんかいられない」
「俺だって忙しいんだ」
とけんかになります。
こういうことは誰にでもあるのですが、なかには過度に相手に要求しすぎて、いつもよい関係が長続きせずに、孤独になる人もあります。
どうして、過度に相手に求めすぎてしまうのか?
それは、自分の理想に、相手を無理やり当てはめようとしているのでしょう。
「愛してくれているのなら、無条件に自分を受け入れてくれて当然だ」
……こんな理想が強くあると、自分の家族や恋人や友人が、自分の思いに答えてくれないと、自分は愛されていないのだと落ち込み傷つき苦しみます。
だけど、相手にも相手の都合がある。
どんなにあなたのことを思ってくれていても、余裕がないとき、忙しいとき、イライラしているときがあります。
だから、相手の欲求をすべて受け入れることなんてできるはずがないのです。
あまりに理想を要求していると、相手があなたにしてくれている、ちょっとした思いやりに気がつかなくなります。
理想の姿を要求するよりも、現実の相手を見てあげましょう。
あなたの周りには、沢山の小さな思いやりや、優しさであふれているのです。
真っ暗な夜空を見つめていると、だんだんと星のきらめきが見えてきます。
太陽が沈むと、昼間は太陽の光にかき消されていた、星の光に気がつくようになります。
理想という偽りの灯火を消して周りを見てみると、あなたに届けられている、たくさんの小さなやさしさや思いやりに気がつくようになるのです。
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