お悩み
海外で暮らしたいのですが、ためらう気持ちがあります。いざ計画を立てようとすると、本当に自分はそうしたいのか、わからなくなります。気持ちの整理のしかたがあれば教えてください。
お答え
私たちは、自分のことは、わかっているようで案外わかっていないものです。
私たちの目は外に向かってついていますから、他人の言動はよく見えますが、自分の言動はあまり見えていないことがあります。
「なくて七癖(ななくせ)」ということわざがありますが、どんな人でも、少なくとも7つは癖をもっているということですね。
あの人は、早口だ、すぐに頭をかく、話の初めにセキばらいをするなど、他人の癖はすぐに目につくもの。
でも、自分の癖を7つあげてみてくださいとたずねると、すぐにあげることができる人は滅多にいません。
それだけ、自分のことはわからないからでしょう。
自分の内面、心のこともそうです。
心は目に見えないので、実は、自分でも自分の気持ちや本心というのが、よくわかっていないことが多いのです。
お釈迦さまはお経の中で、
「心口各異(しんくかくい: 心と口は、おのおの異なる)」
とおっしゃっています。
自分が口で言っていることと、心で思っていることが、実は食い違っているということもよくあります。
言葉と心の食い違いに気がつくと、自分が本当にやりたかったことはこれだったんだと気がつき、悩みが一度に解決することがあります。
ある20代の女性と話をしていたとき、こんなことがありました。
「私、海外で暮らしたいと思っているんですけど、どうしたらいいかわからなくて……」
彼女は、海外といえばこれまで友達と旅行に行ったていどでした。
それを突然海外で暮らすというのはちょっと現実味がないなと思ったので、2、3、質問してみました。
「それは、素敵な目標ですね。どうして海外で暮らしたいと思うのですか」
と聞くと、
「やっぱり、外国は自由だから」
と答えました。
「なるほど、あなたが海外で暮らしたいと思うのは、自由になりたいからなんですね。ということは、今、不自由を感じているということですか?」
「そうなんです。私が住んでいるところは田舎で、いまは実家暮らしです。コンビニに行くだけで知り合いによく合うし、近所のおばさんから、結婚しないのかとかしょっちょう聞かれて、とても窮屈で……」
「ということは、外国で暮らしてたいのではなくて、自由に暮らしたいというのが本当の気持ちではないですか」
とたずねると、
「あっ、そうですね。私、べつに海外に行きたいわけじゃなくて、自由に暮らしたいんだ。今、自分の本当の気持ちに気づきました」
と明るい表情で答えてくれました。
彼女はその後、実家から程よく離れた町で仕事を探し、門限を気にせず、友達と自由に毎日を楽しく過ごしているそうです。
心で思っていることと、言葉にして言っていることは、同じではありません。
思っているほど、私たちは自分の本音を、わかっていないものなのです。
自分が口にしている言葉の奥にある、本当の気持ちは何かを見つめるように心がけてみましょう。
自分の本当の気持ちに気づくことで、心のモヤモヤがすっきり晴れてゆくはずです。
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