蓮は泥田の中にこそ咲く
《泥田の中に咲く花は?》
東野圭吾さん原作のドラマ白夜行にはこんなシーンがあります。
絶望的な家庭の中、必死に生きる
小学時代の雪穂は、
どぶに咲く花があると聞き学校の帰りにいつもどぶ川をじっと見つめます。
そんな雪穂に思いをよせる
亮司は図鑑でそんな花があるのかを探します。
【蓮華は高原陸地よりも泥田の中にさく】
亮司は得意の切り絵でつくった蓮の花をどぶ川に浮かべて
雪穂にいいます。
「雪穂がいっていたのってドブじゃなくて泥に 咲く花だと思うんだよね。
蓮(ハス)のこと、お釈迦様がすわっているやつ」
仏教で
弥陀の本願に救われた心の世界を蓮の花にたとえられます。
蓮の花は、水と空気の澄んだ高原陸地に咲くのではなく
どろどろの泥田にけがれのない花を咲かすのです。
蓮の花の徳に
淤泥不染(おでいふぜん)の徳というのがあります
蓮の花は、
泥田の中でも、泥に染まらず、美しい花を咲かせます。
弥陀よりたまわる他力信心は
美しくすんだ人の心ではなく
欲、怒り、愚痴一杯の煩悩具足(ぼんのうぐそく)
の人間の心の中に咲くのだよといわれています。
私たちの心は澄んだ高原陸地なのでしょうか
それともドロドロの泥田なのでしょうか。
仏の見抜かれた
真実の私とはいかなるものなのでしょうか
★弥陀の五劫思唯の願をよくよく案ずれば
親鸞一人がためなりけり 親鸞聖人
歎異抄を通して、人間の真実と、弥陀の本願について
お話します。