妻に言葉が通じない


 

お悩み

 結婚して分かったのですが、異性というのは宇宙人ですね。「何が食べたい?」ときかれて「何かてきとうなもの」と答えると怒られます。
 同じ言語で話しているつもりでも、意味が通じていないようです。
 気をつければいいのでしょうが、どう気をつけてもゲキリンにふれることがあるので…… それでも気をつけるとしたらどういうことでしょうか?



お答え

「これぐらいのことは分かってくれるだろう」と思って言ったり、やったりしたことが、相手には全く伝わらなかったり、正反対の意味に受け取られたりしてしまうことがよくあります。

 こちらの思いと相手の思いのすれ違いから、人間関係のトラブルに発展していくこともよくあることです。

 相手が自分の言いたいことを分かってくれないと、
「このあいだ、説明したでしょう」
「何度、言わせたら気がすむの?」
と腹立たしい気持ちになりますが、そもそも、自分の思っていることが、相手にそう簡単に伝わるものなのでしょうか?


 私たちは、一人ひとりのこれまでの行いや経験が生み出した世界に生きているのだと、仏教でいわれています。
 ですから、同じ物を見ても、人によって、全く違うように見えているということです。


 身近な例で理解してもらうために、私は講座で話をする時に、こんな質問をすることがあります。ネクタイピンを外して、

「皆さん、このネクタイピン、いくらだと思いますか」

と聞いてみると、いろんな答えが返ってきます。

 ある人は、5000円、ある人は2000円、ある人は500円……と、同じネクタイピンなのに、人によって値段がばらばらなのです。
 実際は、3000円なのですが、なかには1万円以上の値段をつけてくれた人もありました。

 同じネクタイピンでも、どのように心に映るかは、全く違うのです。

 では、どうしてそのような違いが生じるのかというと、各自のそれまでの行い・経験が違うからです。

 ネクタイピンをよく使う人には、何となく値段も分かるでしょう。しかし、使わない人には見当がつきません。経験の違いが、見方の違いを生み出したのです。


 これは、ネクタイピンだけではなくて、私たちが認識するあらゆる物事に当てはまります。
 同じ映画を見ても、感動して泣きながら見ている人もあれば、隣で口を開けて寝ている人もあります。

 同じものを見たり聞いたりしても、全く同じように感じているとは、いえないのです。


「一水四見」(いっすいしけん)という言葉が仏教にあります。

 同じ水を見ても、人間は水だと思い、餓鬼は炎と見ます。天人はルリ(宝石)と見ますし、魚は住みかと見るのです。

 

 

 同じものでも、立場や境遇の違いでまったく違って見えることを教えています。

 同じ問題であっても、それぞれの都合や利害がからんでくると、意見や考え方が違ってくるのは当然なことです。


 私たちは、一人ひとりのこれまでの行いや経験が生み出した世界に生きていますから、自分の思っていることが、思っているとおり、相手に伝わるということはありません。

 ちょっと説明したぐらいで、自分の意見や考えを理解してくれる人がいれば、それは本当にありがたいことです。相手が分かってくれなくて、当然なのです。


 意見が対立して、ぶつかった時、このことを心に置いておくと、相手を責めるより、どうしたら、相手に分かってもらえるだろうか、という現実的な努力になるのです。


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2018年08月13日