お悩み
どういうわけか一緒にいるだけで腹が立ってくる人がいます。べつに私に悪いことをしてくるわけでないし意地悪もしてこないのですが、言うこと、すること、なぜかいちいち腹が立ちます。職場が同じなので離れるわけにもいきません。どう接したらいいでしょうか。
お答え
腹が立ったり、相手とぶつかったりした時に、どのように自分や相手を見ていけばよいかをいくつかお話ししてきました。
しかし、こうすれば一発で解決できる、という方法はありません。
なぜなら、私たちは煩悩(ぼんのう)のかたまりなので、キッカケさえあれば、すぐに腹を立ててしまうからです。
どんなキッカケで腹を立てるかも一人ひとり違います。
「約束の時間を破られるのは、とても腹が立つ」という人もあれば、「多少待たされても平気だけど、上から目線で言われると、冷静でいられなくなる」という人もあるでしょう。
レストランの料理がおいしくないと機嫌が悪くなる人もあれば、食事の味は気にしないけれども、好きな野球のチームが負けると腹が立ってしかたがない、という人もあります。
これぐらい平気だと思って、言ったり、やったりしたことが、相手の怒りのツボにはまって、激怒させてしまうこともあります。
「なんで、こんなことで怒るんだろう」と思うのですが、相手にとっては、これほど腹立たしいことはないのです。
逆に相手の一言が、自分の怒りのツボにはまって、カッと頭に血が上るということもあります。
「なんであの人は、自分の気にしていることや、言ってほしくないことを、ズバズバ言ってくるんだろう」
と思っても、言った本人に悪気がない場合もあります。
怒りのツボは、人によって違うのです。
相手の怒りのツボを知っておくと、その人と接する時は、そこには触れないように注意できますから、怒らせたりケンカになったりしなくてすみます。
自分の怒りのツボを自覚しておくと、なるべく、そのツボが押されないように縁(環境や状況)を選んでいくようになります。
そのツボを押してきそうな人が近くに来ると、避けることもできます。
心の準備ができますから、万が一、押されてしまっても、ここで自分はいつも腹を立てるんだと自覚していれば、心の準備ができてブレーキがかかります。
怒ることが少ない人とは、自分の怒りのツボを心得ている人といえるでしょう。
ある有名な心理学者は、
「他人に対していらだちを感じた時は、自分について知るいい機会である」
と言いました。
「あの人が嫌い、あの人が苦手という嫌な感情を抱く原因は、自分にある。相手はキッカケであって、原因ではない。どうして、その人に嫌な感情を起こしたのかを見つめていくと、自分自身をさらに深く知ることができる」
ということです。
同じ人に対しても、好き嫌いの評価が分かれることがあります。
あの人は決断力があって頼もしいと好意的に評価をする人もいれば、あの人はワンマンで独断専行、人の言うことを聞かない人だと悪く評価をする人もあります。
同じ人物でも評価が変わってしまうのは、評価する人の心が違うからです。
ですから、この人、苦手だなと思ったら、相手を嫌って遠ざけようとする前に、どうして、苦手に思うのか、自分自身を見つめてみることが大事です。
ひょっとしたら、自分に足りないものを相手が持っていて、自分の劣等感を意識するのが嫌だから、ことさらに相手を非難しているのかもしれません。
その場合、相手の優れたところを羨ましがっている自分を認めることは、勇気のいることですが、それが分かると、相手への敵対心は、すっと雪が解けるように消えて、受け入れることができるようになるのです。
それはそのまま、劣等意識に悩んでいる自分を受け入れることになります。
自分を縛っていたものがスッとほどけて楽になれます。
このような視点で見てみますと、人間関係のイライラなども、自分を知る大きなきっかけになりますね。
苦手な相手は、あなた自身の見たくない部分を映している鏡なのかもしれません。
弱い自分、イヤな自分を受け入れる大きな一歩にしていくことができるのです。
それでも、どうしても、あの人は一緒にいるだけでイライラする、抑え切れないという場合は、無理してそばにいたり、相手に合わせたりする必要はありません。
これは、どうしようもないなと思ったら、しばらく、距離を置いてみることも大事です。
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