好きな人が憎い


 

お悩み

 大好きな人がいます。いつも一緒にいたい、この人を独占したいと思います。でも、むちゃくちゃ憎たらしいときがあって、別れたくなります。自分の気持ちが揺れすぎてつらいです。



お答え

 みんな、自分のことを分かってほしい、と思っています。

 自分の気持ちを分かってもらえると、とてもうれしいですし、逆に、理解してもらえないと寂しくなります。
 ですから私たちは、「この人なら、自分のことを理解してくれそうだな」という人を求めます。

 ところが、近づきすぎると、ぶつかって傷ついてしまうこともあります。


 こんな人間関係を象徴的に表したドイツの寓話(ぐうわ)に、「ヤマアラシのジレンマ」があります。

 ヤマアラシは、ご存じのように、体に針のような毛を持っています。
 冬の寒さに震えていたヤマアラシは、互いに温め合おうと体を近づけました。
 ところが近づきすぎると、お互いのとげが相手を刺すので痛くて近づけません。

 そこでいったん離れるのですが、離れると寒くてたまらないので、また近づきます。
 するとまた、お互いの針が刺さって、傷つくのです。

 この繰り返しを通して、ヤマアラシは、お互いにちょうどよい距離を見つけたという話です。

 

 

 私たちは、独りでいると寂しいので、誰かを求めます。ヤマアラシが仲間を見つけて近づいていったように、自分と気の合う人や、話が合う人に近づいていきます。
 ところが、近づきすぎると、相手の嫌なところ、気になるところが見えてきます。

「この人となら分かり合えるかも」という期待が裏切られて、「どうして分かってくれないの?」という思いから、お互いを傷つけ合うことになってしまうのです。

 これ以上、傷つくのがつらいので、相手と別れて独りになると、また寂しくなります。


 誰しも、そんなジレンマに、悩んだことがあるのではないでしょうか。

 どうしたらお互いが傷つかない、ほどよい距離を保つことができるのでしょうか。
 次のページで、お釈迦さまのアドバイスをお聞きしてみたいと思います。


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2018年08月05日