お悩み
ネガティブなことは考えるな、いつもポジティブでいけと言われますが、できません。
ポジティブ思考が大事なのはわかりますが、常にポジが良くネガは良くないというのはどうも違和感があります。
実際のところどうなのでしょうか。
お答え
お医者さんが患者さんを治療するうえで、一番大切なことは、まず初めに「正しい診察」をすることです。
もし、最初の診察が誤っていれば、最新の治療法や高価な薬を処方しても、治るはずのものも治らず、余計に悪化してしまうこともあるでしょう。
日々の悩みやストレスも、同じことです。
まずは、自分の心の状態を正しく知り、整理すること。
何に悩んでいるのか、何にストレスを感じているのかを知ることです。
悩みの正体、ストレスの正体が分かれば、それにあった解決法も見つかります。
お釈迦さまは、「まず、ものごとを正しく見ていきなさい」と教えていかれました。
これを「正見(しょうけん)」といいます。
正しい診察なしによい治療はありえないように、幸せに生きていくためには、まず自分を正しく見ることが先決ですよと説かれたのです。
では、正しく見るとはどういうことなのでしょうか。
このことを教えた話があります。
室町時代に生きた浄土真宗の僧・蓮如上人(れんにょしょうにん)が町を歩いていると、何やらワイワイガヤガヤ人が集まっています。
「一体何をしているのだね」
と蓮如上人(れんにょしょうにん)がたずねられると、
「ああ、蓮如さまですか、これを見てください」
と人々が言います。
見ると、松の木の前に立て札があり、こう書かれているではありませんか。
「この松をまっすぐに見た者には、金一貫文を与える。
大徳寺 一休」
これは、かの有名な一休禅師(いっきゅうぜんじ)による、とんち問答だったのです。
一貫文とは大金です。人々は、何とか、この松をまっすぐに見て、お金をもらおうとしていたのです。
ある者はハシゴをかけて斜めから見たり、ある人は木によじ登って上から見たり……。
あの手、この手で挑戦しますが、どうしても、まっすぐには見えません。
事情を聞かれた蓮如上人は、
「また一休のいたずらか。わしはまっすぐに見たよ」
と言われ、驚いた町人にタネ明かしをされました。
「曲がった松を、『曲がった松だなー』と見るのが、まっすぐな見方なのだ。
白い物は白、黒い物は黒と、ありのままに見るのが正しい見方なんだよ。
これを正見(しょうけん)という。
曲がった松を何とかして、まっすぐ見ようとするのは、曲がった見方だ。
それを邪見(じゃけん)というのだ」
「さすがは蓮如上人」
と、人々は感服したと伝わっています。
ものごとをありのままに見るとは、曲がった松は、曲がった松だなーとそのまま見ること。
どこから見ても曲がっている松を、無理やりまっすぐ見ようとするのは、曲がった見方です。
素直に、自分の思いや都合を入れず、あるがままを見る、これが、正しく見る、正見(しょうけん)ということです。
苦しいことやつらいことも、まず、あるがままに見ていく。
悩みやネガティブな感情も、押し殺すのではなく、あるがままに見ていくことが、そこから抜け出す第一歩になります。
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