苦しみが多すぎて、努力する気になれない


 

お悩み

 このごろ、悪いことが立て続けにやってきます。努力で運命は変えられるといわれても、ムダなような気がして、もうどうにでもなれ! と思えてきます。

 

お答え

 現代の私たちの生活は、ストレスに満ちています。
 情報化社会で、いろんな人とつながることができるのは便利な反面、それだけ、気をつかわなければならなかったり、人間関係のわずらわしさが増えたりしています。

 2600年前のインドでも、お釈迦さまは、
「人生は苦なり」
と言われています。

 苦しみ悩みが尽きないのは、いつの時代でも、どこの場所でも、本質的には変わらないのです。

 就職先が決まらなくてイライラしたり、職場や隣近所の人間関係で腹が立ったり、どれだけやっても終わらない仕事を投げ出したくなったりすることがあるでしょう。

 こんな状態に陥ると、「あとはどうにでもなれ」と、周りに八つ当たりしたり、やけ酒を飲んだり、衝動買いしたりと、自分でもコントロールできなくなってしまうこともあります。


 しかし、この迷ったり、イライラしたりした時こそ要注意で、頭を冷やして、心を落ち着かせなければならないのです。

 なぜならば、ちょっとしたことがキッカケとなって、想像もしていなかったような、苦しい状態に陥ってしまうことがあるからです。


 仏教では、私たちの苦しみが深まっていく過程を、

 「惑業苦」(わくごっく)

 と教えられます。

「惑」(わく)とは、まどいということで、イライラして心が乱れたり、うまくいかなくて迷ったり、失敗して焦ったりしている心の状態です。

「業」(ごう)とは、悪い行いのことです。迷って焦っていると、ほとんどの場合、間違った行動をとってしまいます。

「苦」(く)とは、迷いやあせりのためにやってしまった悪い行いによって、生み出された苦しみです。

 最初は小さな惑(まど)いが原因となって、悪い行い(業)をしてしまいます。
 その結果、受ける苦しみが原因となって、さらに大きな惑いが生じます。
 今度は、その惑いが原因となって、もっと大きな悪い行い(業)をしてしまうのです。

 

 

 車輪が回るように、

  惑 → 業 → 苦

 を繰り返して、どんどん苦しみの輪が大きくなっていくのです。


 自分の失敗をごまかすためにウソをつく、そのウソがばれないようにするために、さらに大きなウソをつく……。最後、隠し切れなくなって、大きく自分の信頼を失ってしまうということは、誰にでも起こりうることです。


 消費者金融などで、にっちもさっちもいかなくなってしまった人でも、最初から何百万も借金をする人は少ないでしょう。初めは、お金に困って、迷った挙げ句、「すぐ返すから大丈夫だろう」とドキドキしながら数万円を借ります。

 その金額がだんだん大きくなり、気がついた時には、借金で借金を返す悪循環にはまり、最後は、自分ではどうしようもなくなってしまいます。


 大きな罪を犯した人を見ると、「なんてひどい人間だ」という見方をしがちですが、最初のきっかけは、「これぐらい、ばれないだろう」という小さな迷いであることのほうが、多いのです。


 [関連記事]自分なんてダメな人間 ――惑業苦がまねく恐ろしい結果とは?

 

 

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2018年07月21日