世界
仏教では「仏界（ぶっかい）」に対して「世界」といいます。 仏界とは、最高の悟りをひらいた仏さまのすむところ。 それに対して世界とは、俗世間という意味です（出典：『仏教が生んだ日本語』大谷大学 編）。 なので娑婆世界（しゃばせかい）ともいいます。 娑婆とは、堪忍土（かんにんど）ともいわれ、思いどおりにならないのがこの世の中ということですね。 もう少しお金が欲しいと思っても、そう簡単に給料は上げてもらえません。 仕事でチームの意見がまとまらなければ、誰かが譲らなければなりません。 近所付き合いがわずらわしいからといって、引っ越すわけにもいきません。 いちばん分かり合えると思って結婚した夫婦の間でも、我慢なしに結婚生活は成り立ちません。 安倍晋三さんはバラエティ番組に出演したとき、タレントから「家庭円満の秘訣は何ですか」と質問されて、「家庭のコウフクは、妻に全面コウフク」と答えていました。 私の友人は、奥さんとこんな口論になることが多いそうです。 「食器を洗っておいてと言ったでしょ！」 「いや聞いていない」 「言った！」 「言ってない」 「絶対に言った！」 「絶対に聞いてない」 以前は徹底的にやり合っていたそうですが、奥さんは絶対に折れないので、この程度のことなら、納得できなくても 「ごめん、忘れていた」 と謝るようにしたといいます。実際にそうかもしれないし、自分も奥さんにいろいろ我慢させてるからと言っていました。 ほとけさまの世界ならいざ知らず、俗世の界ですから、ケンカや衝突はあって当然と思えば、思いどおりにならないと嘆くことも少なくなるのではないでしょうか？
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