阿頼耶識とはどんな意味か?わかりやすく解説│根本の心

フロイトやユングも驚く 仏教に説かれる深層心理

人間の心は複雑です。自分の心であっても、なぜ、好きになったのか、その人を選んだのかというとなかなかわかりません。
日々、いろんな物事を選んだり、決めたりしているときも、必ずしも、明確な理由があってというよりも、ただ、なんとなくということの方が多いのではないでしょうか。
あなたが、どうしてあの人を好きになったんですかと聞かれたらなかなか的確に答えることはできないでしょう。
容姿や、社会的地位、収入などは、後からの判断材料で、最初にぐっと引かれる衝動は、本人にも説明がつかないのです。

このように私たちが自覚して意識できている心の部分は、ほんの一部であって、自分でも意識できない心の働きによって、日々の様々な物事を決めたりしているのです。
心理学では、今から百年ほど前に、このようなことが提唱され、現在では定説になっていますが、仏教では、それよりもずっと前から、自覚できる自分というのは、氷山の一角であって、自覚できない根本の心の働きが、今の私を動かしていることを、大変詳しく教えています。

その根本の心を、阿頼耶識(アラヤ識)と言われます。

辞書ではこのように説明してあります。

阿頼耶識
唯識説で説く八識の第八。宇宙万有の展開の根源とされる心の主体。万有を保って失わないところから無没識、万有を蔵するところから蔵識、万有発生の種子 (しゅじ) を蔵するところから種子識ともいわれる。
引用:デジタル小学辞典

以下ではわかりやすく解説していきます。

阿頼耶識とは蔵のような心

阿頼耶(アラヤ)とはという意味です。

ヒマラヤ山脈のヒマラヤとは、正確にはヒム・アラヤだそうですが、ヒムとは雪という意味です。アラヤは蔵という意味ですから、ヒマラヤとは雪の蔵という意味になりますね。

私たちの本心には、過去の行いが力となってすべておさまっていますから、アラヤ識と名付けられています。

仏教では、この阿頼耶識を含む意識作用を八識と呼びます。

五識(眼識、耳識、鼻識、舌敷、身敷)、意識、末那識、阿頼耶識です。

阿頼耶識に蓄えられた業力は、結果として現れるまでずっと、力として消えずに残ると説かれます。
これを業力不滅といいます。
阿頼耶識に蓄えられている業力が私を動かすのだと説かれるのですがそれは一体どういうことなのでしょうか。もう少し詳しく説明します。

業力の生み出す世界

私たちの行いを仏教では「」と呼びます。

古いインドの言葉でカルマとも言います。

業には口業(くぎょう)、意業(いぎょう)、身業(しんぎょう)があります。

口業(くぎょう)とは口で話すこと、

意業(いぎょう)とは心で思うこと、

身業(しんぎょう)とは体の行いです。

口や心、体で行動した行いは力となります。

それを「業力(ごうりき)」と呼びます。

先述したように、業力は阿頼耶識に蓄えられ、我々人間一人一人の世界を生み出しているのです。これを業種子とも言われます。

その業によって生み出され、表された世界は「業界(ごうかい)」と言われます。

つまり我々は、一人一人違う世界に生きているということなのですね。

 

薫習(くんじゅう)

阿頼耶識に業力が蓄えられるとき、薫習(くんじゅう)されます。

薫習とは香りが着物に残るように業力が阿頼耶識をいぶして、染みつくことです。

つまり、幸せな行動をしていたら幸せの種子が薫習されて阿頼耶識に染みつき、

苦しい行動をしていたら苦しみの種子が阿頼耶識に染みつくのです。

そうやって薫習されて蓄えられた阿頼耶識によって、

それぞれの人の世界(業界)が生み出されるのです。

 

一水四見(いっすいしけん)

私たちは同じものを見ていても、人によってそれぞれ見え方が違います。

これを一水四見(いっすいしけん)と言います。

人間が水を見ると、飲み物に見えます。

餓鬼が水を見ると、恐ろしい炎に見えます。

天界の人が水を見ると、宝石に見えます。

魚が水を見ると、空気のように見えます。

一つの水を見ても、それぞれの立場や境遇、心によって見え方は様々ということです。

その理由は、それぞれの業が生み出した世界『業界』が違うからなのですね。

 

カラーバス効果とは

我々は、日々の行いによって、それぞれの世界を生み出しています。

悪い行いをし続けると、根本の心である阿頼耶識が濁っていき、世界そのものが暗くなってしまいます。

逆に

良い種まきを心掛けることで、根本の心である阿頼耶識は軽くなっていき、世界は明るくなります。

心理学に「カラーバス効果」というものがあります。

例えば、赤いものを探してくださいと言われると普段気にも留めていなかった周囲の赤いものが目に入ってきます。

このように、普段気にも留めなかったものや事柄が、意識をしただけで急に目に入ってきたり、気付いたりするのです。

これは色にだけ言えることではありません。

「ありがたいなと思えることを、今日は3つ探してみましょう」

と自分にルールを設けてみましょう。

そうすると、「悪いことが起きた」など普段から気持ちが沈んでいたとしても

・こんなに良いことがあった

・こんなに恵まれていたことがあった

・自分はラッキーだった

というように新たな気づきに出会えることでしょう。

つまり我々は、世界をありのままに見るのではなく、心のフィルターを通して物事を見ているということなのです。

自分自身の考え方や行動が、自分の世界を明るくしたり濁したりしているのですね。

もしあなたが、自分自身を生きづらくするような行動や考え方をとっているなら、一度立ち止まって、やめてみましょう。

そして自分自身を幸せにしたり、心が軽くなる考え方や行動を、このカラーバス効果のように心掛けてみてください。

仏教の中に、「善因楽果(ぜんいんらくか)」という言葉があります。良い種をまくと、心が楽なり幸せになります。

悪因苦果(あくいんくか)」という言葉があります。悪い種をまくと、その人の心を縛りつけて重く暗くさせます。

 

↓↓善因善果、悪因悪果については下記の記事で詳しく記載しています↓↓

あなたの運命はあなたの行いが生み出したもの – 仏教辞典 (bukkyouwakaru.com)

 

そういった視点で、今一度、御自身の行動や考え方を振り返ってみてください。

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執筆者:岡本一志
一般社団法人全国仏教カウンセリング協会代表 仏教の教えにもとづいたアドバイスをしている 著作に「心がほっとする仏さまの50の話」三笠書房 「心がすっと晴れる仏さまの伝えたかったこと」 など計5冊、累計35万部突破のベストセラー
 

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