みなさん、突然ですが質問です。
「優しさ」とは何でしょうか?
ちょっと哲学的な問いですね。
人間は優しさを「愛」と呼んだり「慈悲」と言ったりします。
そもそも両者に違いはあるのか?
違うなら、どこが違うのか?
この記事では「慈悲」の本当の意味について、わかりやすく解説しています。
慈悲心がわかると人間関係も良好になりますよ。
Contents
慈悲の意味とは?
慈悲の本当の意味を知るために、まず愛との違いについて解説します。
愛とは
私達が普段使っている意味合いだと
親子・兄弟などがいつくしみ合う気持ち。生あるものをかわいがり大事にする気持ち。
引用:goo辞書
ですよね。
キリスト教では、この愛の概念をとても大事にしています。
一方、仏教では「愛」を「貪愛」という煩悩の1つとして分類しています。
なぜ私達を悩ませる煩悩なのか、簡単に説明しましょう。
愛は相手に与える側面もありますが、相手から奪う側面も持っています。
誰かを愛した時、その人のために時間もお金も体力も使いたくなったり、実際に使っている人も多いでしょう。
一方で愛しているが故に、見返りがない時、相手の心が離れた時、その愛が恨みや攻撃のタネに転じ、ストーカーや犯罪にまで手を染めることもあります。
このように愛は一見「優しさ」に見えます。
しかし愛の裏に見返りの心が隠れているのです。
仏教で「愛」が煩悩に分類される理由は、ここにあります。
慈悲とは
一方、慈悲とは何か、まずは辞書でみてみましょう。
1 《「慈」は、梵maitrī「悲」は、梵karuṇāの訳》仏語。仏・菩薩(ぼさつ)が人々をあわれみ、楽しみを与え、苦しみを取り除くこと。
2 いつくしみ、あわれむこと。なさけ。
引用:weblio辞書
辞書にもある通り、慈悲はもともと仏教の言葉であり、仏さまの心のことです。
漢字の意味を1つ1つ見ていきましょう。
「慈」=苦しみを抜いてやりたい心
まず慈悲の「慈」とは、「苦しむ人の苦しみを抜いてやりたい」という心です。
苦しんでいる人を見て、かわいそうだな、何かしてやれないだろうかと思ったり、困っている人をほっておけないという思う気持ちです。
「
悲」=喜びを与えてやりたい心
次に慈悲の「悲」とは「喜びを与えてやりたい」という気持ちです。
相手を喜ばせたい、楽しませたい、笑顔にさせたいという心です。
相手が幸せだと、自分も幸せな気持ちになる、そんな心のことです。
仏さまは「苦しむ人の苦しみを抜いて、喜びを与えてやりたい」と思っています。
相手の幸せを願う心の塊なのです。
慈悲の心とは?
相手の幸せを願う心。
この記事を読んでいるあなたも、一度はそんな心になったことがあるのではないでしょうか。
特に、親の子どもに対する心とは、まさに慈悲の心と言えるでしょう。
- 子どもが第一志望の大学に合格したことを、母親が自分のことのように喜んでくれた
- 大好きなハンバーグを、父親が全部くれた
- 熱を出して苦しんでいるのを見て、夜中にも関わらず親が病院に連れて行ってくれた
多かれ少なかれ、皆さん一度はこのような経験があるでしょう。
慈悲は、見返りなく、相手の幸せを願う心です。
慈悲にも2つあるって本当?
仏教では、慈悲に2つあると教えています。
「人間の慈悲」と「仏さまの慈悲」の2つです。
どんな違いがあるのか、順番に見ていきましょう。
人間の慈悲とは?
人間の慈悲は不完全なのです。
その特徴が3つあります。
- ・不平等
- ・続かない
- ・先が見通せない
それぞれの特徴について簡単に説明します。
不平等
人間の慈悲には偏りがあります。
慈悲を注ぐと言っても、家族が最優先です。次に親族、友人の順番で、赤の他人に慈悲の心を持つことは難しいでしょう。当然ですが、そこに「差別」が生まれます。
続かない
親の慈悲心に敵うものはありません。しかし、子どもに対してもずっと同じ気持ちでいられるでしょうか?10年20年もすれば、当時抱いていた慈悲の心とは温度差があることを感じるでしょう。
先が見通せない
残念ながら人間には先を見通す力はありません。
子どもが喜ぶからと、お菓子ばかり与えていたら、小児肥満となって、子どもが病気になってしまうかもしれません。
良かれと思ってやったことが、返って相手を苦しめてしまうことがあります。
このように人間の慈悲は不完全なので「小慈悲」と言われます。
仏さまの慈悲とは?
一方、仏さまの慈悲は、人間の慈悲とは真逆の特徴を持っています。
・すべての人に平等
・永遠に変わらない
・智慧に裏付けられている
「小慈悲」に対して、仏さまの慈悲は「大慈悲」と言われます。
仏教は慈悲の教え
仏教は仏(=ブッダ)の説いた教えです。
仏さまは皆、慈悲の心を持っていますから、当然ながら教えの内容も慈悲の心であふれています。
では仏教とはどんな教えなのか、見ていきましょう。
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仏教の教えを一言でいうと「善」の教えです。
『諸悪莫作 衆善奉行 自浄其意 是諸仏教』(七仏通戒偈)
「もろもろの悪を為すことなかれ、つつしんで善を修めよ」ということです。
仏教の根幹は、因果の道理。
因果の道理とは、幸せの真理法則です。
具体的には、「善因善果」「悪因悪果」「自因自果」です。
ブッダはなぜ善を勧めたのでしょうか?
それは実践してほしいからです。
当時の生きていた人たちに、それぞれの立場で出来ることを伝えていったので、お経は7000冊以上もあるのです。
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仏教の目的は、苦しみを抜いて(=慈)、楽しみを与える(=悲)ことです。
「楽しみを与える」といっている「楽しみ」とは、「永遠に変わらない幸せ」のことです。
大慈悲とは、私達を絶対に崩れない幸せにするという仏様の心のことなんですね。
ブッダも同様、この大慈悲心をもって仏教を説いていったのです。
愛される人になるには
愛される人とは、どんな人でしょうか?
苦しい時には一緒に泣いてくれる。
楽しい時には一緒に笑ってくれる。
そんな存在を大事にしたくなるのは当然でしょう。
まずは相手の話をよく聞いてみましょう。
反論したくなることもあるでしょうが、そこは我慢です。
よく聞いて共感することで、相手は満足します。
きっとあなたが苦しい時、相手も同じことをしてくれるようになるでしょう。
慈悲の本当の意味とは?(まとめ)
最後にこれまでの内容をまとめておきます。
- 「慈悲」とは仏さまの心
- 「慈」=苦しみを抜いてやりたい心、「悲」=喜びを与えてやりたい心
- 仏さまの慈悲は「大慈悲」といい、3つの特徴がある
- 3つの特徴は、すべての人に平等/永遠に変わらない/智慧に裏付けられている
- 仏さまは、私達を「変わらない幸せにしたい」と思っている
- 仏教は「善」の教えであり、幸せになる種まきを勧めている
今回は「慈悲」という言葉から話をしました。自分の人生に当てはめ、活かしていきたい方はメルマガを登録して、引き続き学んでみてください。
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