- まさに今、人生のどん底にいるという人
- 御自身の身近な人が、人生のどん底にいるという人
- どん底から這い上がりたい、抜け出したいと思っている人
今回の記事を読めば、「学習性無気力」について知り、どん底から這い上がる方法を知ることができます。
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執筆者:岡本一志
一般社団法人全国仏教カウンセリング協会代表
仏教の教えにもとづいたアドバイスをしている
著作に「心がほっとする仏さまの50の話」三笠書房
「心がすっと晴れる仏さまの伝えたかったこと」
など計5冊、累計35万部突破のベストセラー
みなさんは、苦しい思いを経験したことはありますか?
周囲の環境や人間関係、経済的な問題など、様々な理由により、まさに「どん底」と言えるほどの苦しみを味わったという人、ちょうど現在味わっている最中という人は沢山おられると思います。または周囲にそのような人がいるかもしれません。
今回は、そんな苦しい状況から抜け出せない理由、そして抜け出す方法をお話したいと思います。
YouTubeではもっと詳しく話していますので、ご覧ください。
Contents
学習性無気力とは
ある本に、こう書かれていました。
本当の「貧しさ」とは、貧しさに気がつかないことである。
辛い生活をしていると、段々とそれが普通の生活だと思い込むようになります。
本当はもっと良い生活をすることができたり、より良い選択肢があったり、苦しみから抜け出す方法があるかもしれないのに、抜け出そうということを段々と考えられなくなります。
生まれた環境が、苦しい環境だった。でも、その状況に一旦慣れてしまうと、その人にとってはそれがスタンダードな状態となり、みんなこうなのだと、悪い状況を受け入れてしまうのです。
もっと良い選択肢や、もっと良い生き方があるということを知ってしまうと、自分自身がより惨めに感じてしまうので、無意識に見ないようにしてしまいます。
本当の「貧しさ」というのは、貧しいことに気づけないことなのです。
「自分の生活や、自分の今の環境が辛い。どうしてだろう?」と考えると、とても苦しくて辛いのです。
少しでも心に余裕のある人は、どんなに苦しくても、もっと良い選択肢があることを知ると、苦しみから這い上がろうとします。
一方で、辛く苦しい生活が全てだと思い、その状況を受け入れてしまうと、這い上がる為の選択肢を探そうともしなくなります。
それが本当の「貧しさ」なのです。
他人から見たら、もっと良い選択肢や、もっと良い生活があるということがわかるのに、当の本人は、今の苦しい生活が全てであると思い、外の世界を全く見ようとしません。
こういった状態を、「学習性無気力」と言います。
このような例があります・・・・
小さい時から、足を鎖に繋がれて育った象は、大人になっても逃げだそうとしません。
大人の象は、とても大きく、力も強いので、鎖が繋がっている杭を抜くことなど容易なことのはず。
しかしながら、杭を抜く力がまだ備わっていない幼少時に鎖に繋がれた象は、杭を抜くことができないと、大人になってからもずっと思い込んでいるのです。
その先入観から、大人の象になってからも逃げ出そうとはしません。
「学習性」というのは、後天的に身に付けたという意味です。
つまり「学習性無気力」とは、生まれつき無気力なのではなく、刷り込まれた無気力ということです。
学習性無気力に陥ってしまったら
この学習性無気力に陥ってしまうと、縛り付けられていることが当たり前、貧しく苦しいいことが当たり前な心理状態となります。
不条理なことを言われたり、されたりしても、抵抗することも回避することもしません。
ストレスに長期間晒されると、不快な状況から逃れようという行動すら行わなくなる。
これが学習性無気力なのです。
不条理な目に会っているということに、自身で気づき、回避しようとするような行動をとろうとする人は、まだ学習性無気力には陥っていません。
本当に危険なのは、気づこうとしない人です。
「なにをやってもダメだ」というのが、当然のことのように自分自身に受け入れてしまっている人。
そして、その環境から抜け出そうという気すらなくなっている人。
そういった人こそが危険な状態なのです。
どん底から這い上がるために
苦境から脱出するには外の世界を知る勇気と努力が必要です。
人というのは、今の状況がスタンダードな状態であると思いたい生き物です。
「自分はまだマシ」
「自分より下は沢山いる」
と、より良い環境や上を見ようとせず、下ばかりを見てしまう。
それは単に、貧しい状態であることを受け入れてしまっているだけなのです。
「外の世界には、今よりもより良い選択肢や生活がある」ということを知ってしまうと、自分が非常に惨めな気持ちになってしまうことを無意識のうちに感じ、恐怖するのです。
だから認めようとしません。
そのように思っている間は、どん底とも言える苦しい状況から抜け出すことはできないのです。
自分が「どん底」という穴に落ちていることに気づかない限り、穴から這い上がろうという気持ちになることはありません。
つまり、苦境から脱出するには外の世界を知る勇気と努力が必要なのです。
仏教から学ぶ『どん底から這い上がる方法』
仏教のお話に「勇気を出して一歩を踏み出せば、自分を縛っていた思い込みや習慣から抜け出せ、自由になれる」というお話あります。
お釈迦さまの弟子アーナンダは、ある暑い日に、池のほとりで水汲みをしている娘に
「喉が渇いているので、水を布施してほしい」と、鉢を差し出した。
娘は「自分は卑しい身分の者なので、水を差しあげることはできない」と答えた。
その娘は、不可触民と言われるインドのカースト制度にも入らない身分の低い娘でした。
自分より高い身分の者との会話や、目を合わすこと、井戸の水を飲むことさえ許されていません。
娘が戸惑っていると、アーナンダは言った
「我が師は、人は生まれながらに貴賤は決まっていないと説かれている。
あなたは私に水を布施することで、カーストという囚われから自由になれるでしょう。
あなた自身が自由になるためにも、勇気を出して、私に水を布施してください」
この差別から自由になれるという言葉に心を動かされた娘は、アーナンダの鉢に水を注ぎ込みました。
娘はこの瞬間、カーストという差別を自分で否定することができたのでした。
このお話からもわかって頂けるように、一歩踏み出す勇気と努力が大事です。
踏み出すためには、自分が不条理の中にいること、そして外に選択肢があることを知ることが大切です。
しかし、なかなか知ることができないということが、苦しみの大きな原因でもあります。
もしあなたの周囲に学習性無気力に陥った人がいたら
もしあなたの近しい方で、学習性無気力に陥っている方がいらっしゃったら、相手の抵抗感を侵さないよう、他にも選択肢があること、抜け出す方法があることを伝えてあげてください。
ほんの少し勇気を出すだけで、杭は抜け、鎖から解放されるのです。
「自分もそうだったけど抜け出すことができた、あなたにもできるから」
と不安感を与えないように伝えてあげることで、苦しみから抜け出すきっかけとなることでしょう。
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