自分を支えてくれている人を恩田といいます

自分を支えてくれている人こそ大切にしよう

三福田に教えられる2つめの恩田(おんでん)とはどんな人のことでしょうか。
恩田とは、恩のある人のことです。恩とは、原を知ると書きます。今の自分はだれのおかげかを知る心ということです。
ですから、恩のある人とは、自分を支えてくれた人、自分を支えてくれている人ということになります。
恩田に布施をしなさいとは、自分を支えてくれている人を大切にしなさいということです。
私たちは往々にして、身近な人よりも赤の他人にいい顔を見せたり、大事にしたりします。

父母恩重経という、両親の恩について詳しく説かれた仏典にこんな一節があります。

既にして婦妻を娶れば、父母にそむき違うこと恩無き人の如く、兄弟を憎み嫌うこと怨ある者の如し。妻の親族訪い来れば、堂に昇せて饗応し、室に入れて歓晤す。ああ、ああ、衆生顛倒して、親しき者は却りて疎み、疎き者は却りて親しむ。

この意味は、
結婚して所帯を持つと、両親にはまるで、他人のように接し、兄弟とはケンカした相手のように疎遠になる。そのくせ、妻の家族がやってくるとチヤホヤもてなす、ということです。
長い間身近で自分を支えてくれた人は粗末にして、関係ができて日の浅い人をチヤホヤしているのでは、全く逆さまではないでしょうか。
私たちが初対面の人に気をつかうのは、それは、相手から嫌われたくないからでしょう。初めてあった人に、無礼な人だ、気のきかない人だと思われたくないから、礼儀正しくします。
だけれども親しくなればなるほど、当たり前になったりいい加減になったりして相手への気遣いができなくなってきます。
たしかに、両親や夫婦、家族など、身近な人であればあるほど、嫌な部分も見えてきますから、他人のように距離をとって行儀よく接するのは難しくなります。
でも、身近な人とは、時間的にも精神的にも、自分と最も一緒にいることが多い人たちです。その身近な人が大事に思えなかったら、いつも寂しく苦しい思いをしなければならなくなると思います。
身近にいて支えてくれている人を大事にすると、毎日は感謝の喜びで満たされるのです。
では、どうしたら、周りの人に感謝の気持ちを持つことができるのでしょうか。それについて、教えられたのが、知恩、感恩、報恩の教えです。

 

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