欲を満たす楽しみに我を忘れている
人間の実相のたとえの中で、旅人は、虎のことも、龍のことも深海のことも、ネズミのことも忘れて、五滴の蜂蜜をなめることだけに没頭をしています。
この五滴の蜂蜜とは、五欲を満たす楽しみを例えています。
五欲とは、食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠欲のことで、これらを満たす楽しみを五楽といいます。この五楽が五滴の蜂蜜です。
命の実相を見れば、吸う息、吐く息が死と触れ合っているのに、ただ、美味しいものを食べたい、より豊かな生活を送りたい、ほめられたい、楽がしたいと五楽を求め、五楽を満たす楽しみに我を忘れ、人生に終わりがあることも忘れているのが、蜂蜜をなめることに没頭している旅人の姿です。
皆、急がなくてもよいことに一生懸命になっている
人生は、あっという間なのに、目先の欲を満たすことのみにかけがえのない命を費やしています。
そして、人生の本当に大切な大事を知りません。
世人薄俗にして、共に不急のことを争う (大無量寿経)
とブッダは説かれます。
「世人」とは、世の人はということ
「薄俗」とは、薄っぺらいということ
「共に不急のことを争う」とは、一緒になって、急がなくてもいいことを、争って奪い合っている。
ということです。勝った負けた、損した得したに振り回されている間に、人生は「あっ」という間に終わってしまうのです。
本当になさねばならない大事とはなんでしょうか。深く考えずにはおれません。
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