だまされていた! これが人間の真実の姿なのだ… シッダルタ太子の出城
シッダルタ太子の行く先を心配した父・浄飯王は、春夏秋冬の御殿を立て、それぞれの御殿に500人の美女をはべらせ、昼夜、歌や舞で太子をなぐさめようとされました。
ところが、シッダルタ太子にとっては、この楽しみも夢や幻でしかなく、むなしさこそ感じることはあっても喜びは見いだせなかったのです。
ある真夜中のこと。
ふと目を覚まされた太子は、周りを見て愕然とされました。
なんと目の前に横たわっているのは、夜の宴の後、昼間は美しく飾っていた才女たちが、酒につぶれ、踊りにつかれて、影も形もない醜態で寝転がっている姿でした。
いびきをかき、衣服は乱れ、昼間とはまったく違うその乱れた姿に太子は愕然としたのです。
「だまされていた、だまされていた、これこそが人間の真実の姿なのだ」
もう迷ってはおれぬ、今こそ出城のチャンスと、シャノクという従者を従えケンジョクという馬に乗り、夜中ひそかに城を抜け出されたのでありました。
太子29才、2月8日のときでした。
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